- 募集締切日
- 2024/07/14(日)【募集終了】
引き継ぐのは若者との関係値!ナレッジやノウハウを蓄積する仕組みを作りたい!
- 課題タイプ
- 単一課題
- 課題地域
- 尼崎市
- 担当部署
- 尼崎市 立花地域課
- 採択企業
POINT
解決したい課題
・若者と関係性を築きながら“やりたい”をひきだす業務(=ユースワーク)は属人化しやすく、ナレッジの共有や引き継ぎがむずかしい
想定する実証実験
・ユースワークで大事にしたいことや信頼関係を引き継げるような対応方法など、ノウハウを蓄積したり、学び合うための仕組みについて検証する
実現したい未来
・立花南生涯学習プラザがユースワークの起点となり、若者のチャレンジをまち全体でサポートすること
得られるもの
・ユースワーカーが抱える“リアルな困りごと”を知ること
・実証フィールドとしてユーススペースを使うこと
・その他ユースに関わる施設にも活用できるナレッジを得ること
STORY
〈まずはじめに〉
課題への取り組みや、活動に対する思いの前に、なぜわたしたち地域課がこの課題に取り組んでいきたいと思ったのか、市全体の取り組みを含め経緯をお話しできればと思います。
〈みんなで作るまちについて考えるきっかけとなる冊子、「でばんですよ!」〉
尼崎市では、様々な立場の人が関わり合い、“おこまりごと”を解決したり、楽しいことを生み出したり、「ここで暮らしていてよかった」と思えるまちにするため、わたしたち一人ひとりができることについて考える【尼崎市自治のまちづくり条例】を市民の皆さんと一緒に制定しました。また市にかかわる皆さんに、自治のまちづくりについて考えてもらう機会となるよう「でばんですよ!」という冊子をつくりました。
〈わたしたちの所属する、地域課って?〉
そんな中、令和元年に新しくできたのが地域課です。市役所であまり聞くことがない地域課という部署。市役所内外から「どんなところ?」「なにをしてるの?」とよく聞かれます。わたしたちは大きく5つの役割をもって仕事をしています。
- 地域資源や課題の情報収集
- 地域課題の整理、地域住民・庁内や関係機関との共有
- 理念を踏まえた事業の企画や実施
- 学習情報や地域活動情報の提供・発信、各種コーディネート
- 事業等の実施後の振り返りや改善策の検討
地域のだれもが役割を持ち、でばんとなるきっかけづくりのため、日々地域に出て、つながりづくりを模索しています。
〈ユーススペースの成り立ち 青少年センターから立花南生涯学習プラザへ〉
生涯学習プラザは公民館や地区会館の機能を有しており、また、地域との顔の見える関係づくりや地域活動支援を行う、学びや活動の拠点となる施設です。
立花地域課は、立花南生涯学習プラザ内にありますが、実はこのプラザは、青少年センターという若者支援を行う拠点施設の跡地に建っています。青少年センターは昭和49年に開館し、令和元年までの45年間地域に密着し若者支援を行ってきました。閉館後は、ユース交流センターとして、園田地区(尼崎の東の端)に拠点を移しました。
“立花は若者のまち“というイメージが市民の方にも一定浸透しており、また立花地域課としても青少年センター跡地に建っているという経緯を踏まえ、若者支援を継続していきたいという想いがありました。
また、ユース交流センターは市の東の端に位置し、西側地域に住む市民からは少し距離があります。西のユース交流センター…とまでは言えませんが、若者たちの居場所になるよう、立花南生涯学習プラザでは14:00~21:00のあいだ、若者たちが優先してフリースペースを利用できるよう「たちばなユーススペース(以下、ユーススペース)」を開設することになりました。
〈キャッチコピーは、“やりたいをやろう”〉
ユーススペースの開設をはじめとした若者支援を行う中で、わたしたちが大切にしているのは“やりたいをやろう”というキャッチコピーです。これは、元々ユース交流センターで使われている言葉でもあります。“やりたい”を引き出せる関係づくり、そしてその“やりたい”をカタチにする伴走支援を行っています。
一つ例をあげると、地域の高校生より「コロナ禍でなにも楽しい思い出が作れなかった小学生に、なにか楽しい思い出を残してあげたい」と相談を受け、解体予定の旧立花庁舎をつかった肝試しイベントを実施しました(令和3年度)。建物が古く怖かったのか、泣き出す小学生もいるなど、イベントは大盛況に終わりました。
〈ユーススペースでの取り組みのひとつ、ユースカフェ〉
若者支援事業の中で継続実施している事業のひとつにユースカフェがあります。この事業を始めたきっかけは自習室に来ていた、高校生からの「ほっと一息つける場所がほしい」という一言でした。
試験前には勉強場所として利用されることが多い生涯学習プラザで、勉強を邪魔することなく交流するきっかけがないか模索した結果、カフェ形式にいきつきました。現在、月1回、平日の1週間(水曜を除く4日間)18時~20時の間、職員がカフェ店員に扮し、ユーススペースで中高生を対象にカフェを実施しています。ユーススペースや自習室にいる学生にコーヒーチケットを配布し、注文にきたタイミングで、勉強のこと、今ハマっていることなど、何気ない会話を交わし、職員との顔の見える関係づくりのきっかけとしています。また、チケットには名前や学校名を記載してもらい、職員との会話など些細なことも記録に残すことで、職員間の情報共有としてデータを活用しています。
若者たちがユースカフェで居心地よく過ごせるよう心がけていることは、無理に会話は引き延ばさないこと、若者から話したいと思うタイミングをみることです。職員がコーヒー豆をゴリゴリ挽いている様子は若者にとっては新鮮で、興味を持ってくれています。月によってばらつきはあるものの、いつもにぎわいを見せています。このカフェをきっかけに挨拶を交わすようになったり、一緒にクリスマスイベントを企画するようになりました。(地域団体の方に、この取組みへの賛同をいただいており、飲み物やおかしの費用について協力いただいています。)
〈課題は、信頼関係とノウハウの引継ぎ〉
手探りながらも若者向け事業を行ってきていますが、毎年の課題があります。それが「引継ぎ」です。職員は人事異動により数年で異動しますが、ユースワークに関しては、一人ひとりにあわせた対応や、個人間での信頼関係など、マニュアル化できないものが多々あり、職員が変わるごとに築き上げてきた関係性を再構築しなければなりません。
また、異動してきた職員の多くが過去に在籍していた部署でユース世代と関わる業務に携わったことがなく、ユースワークに関するノウハウやナレッジはもちろん、接し方もわからない状態です。事務的な業務であれば過去の決裁やマニュアルなど引き継ぐことが可能ですが、信頼関係とノウハウに関しては、職員間で口頭での引継ぎ以外、手法を確立できていません。
〈課題に対して、現状取り組んでいること〉
現在、組織として若者との信頼関係を引き継ぐことを意識しています。そのために、前述したユースカフェではチケットに若者との会話を記録として残し、データとして職員間で共有できるようにしています。また、ノウハウやナレッジに関しては、これからユースワーク研修などを受けることで、ある程度の知識を得ることができると考えています。
ただし、やはり信頼関係とノウハウの引き継ぎに関しての取り組みは簡単ではなく、これ以上取り組めていない状況です。せっかく築いてきた信頼関係や、培ってきた知見の引継ぎ方法があれば、これまで以上にユース世代との交流を築き、わたしたちが掲げている“やりたいをやろう”に近づけるのではないかと思っています。
〈こうありたい、ユースワークのカタチ〉
ユース世代が集い、やりたいをやる。
「どうせできひんし…」「こんなん言うてもばかにされるだけかも…」から「自分らだけやと難しいかもしらんから、地域課に相談してみよか」「こんなんやってみたいねん」に変換できるような関係性づくり、“やりたいをやろう”をカタチづくる伴走支援、そしてユーススペースを、気軽に集い自然と輪が広がる“部室”のような環境に整えたいと思っています。
そして職員の人事異動があったとしても、職員個々によるつながりではなく、立花地域課全体で信頼関係を引継ぎ、新任職員にはユースワーク研修などでノウハウやナレッジを引継げる環境をつくりたいと考えています。
そのために、わたしたちだけでは解決できない引継ぎ問題について、解決のヒントや知恵を貸していただけないでしょうか。近年注目されているユースワークについて、今後どの施設でも引継ぎに関する悩みは発生すると思われます。その課題解決を一緒に考えてくださる方々をお待ちしております。よろしくお願いいたします。
Outline
背景 | ・「立花南生涯学習プラザ」では、家でも学校でもない若者の第三の居場所として「たちばなユーススペース」を開設している。今後ユーススペースのさらなる活用のため、指定管理者と協力して若者支援に取り組む予定。 ・現在、立花地域課職員・指定管理者にて「たちばなユーススペース」の整備やイベントの実施、若者の悩みごとを聞くなど、日々ユースワークに取り組んでいる。 ・近年、こども家庭庁の設立等もあり、若者支援の取り組みはこれまで以上に注目度が高く、他自治体や民間での取り組みも増えている。 ・ユースワーク:地域コミュニティで子ども・若者の育ちを支える活動のこと。具体的な業務は、若者が集える場所の提供・環境整備、悩みごと・相談対応、地域活動・ボランティア等の活動への参加促進、ケアが必要な子どもの発見(必要に応じてカウンセラー等につなぐ)、若者の自主活動の支援など。 ・本記事での若者の定義は、中高生にあたる年齢の人たちのこと。 |
課題(詳細) | ・ユースワークは若者一人ひとりに合わせた対応が必要なため、マニュアル化が難しく、ノウハウの継承が困難である。 ・市職員は数年で人事異動するため、引き継ぎが難しく、新たに異動してきた職員は、手探りでユース対応をしている状況である。 |
求める解決策 | ・これまでのユースワークで得たノウハウやナレッジを蓄積し、かつ、新たに異動してきた職員が学びながらナレッジを随時、アップデートできる仕組みづくり |
想定する実証実験内容(詳細) | 提案を限定するものではありませんが、例えば以下のようなことを想定しています。 ・ユースワーカー同士で、ノウハウやナレッジを学び合えるコミュニティのあり方の模索 ・ノウハウやナレッジを見える化するための、ケースの記録方法の模索 ・若者への対応内容及びその後の変化等を記録することにより、モデルケースを蓄積するシステムの検証 |
実証実験成功後の発展性 | ・尼崎市内のその他若者支援施設における機能拡張を検討予定 |
提案企業に求める専門性 | ・ナレッジマネジメントに関する知見 ・ユースワークや若者支援に対する想い |
プロジェクトの進め方打合せ方法 | ・基本はオンラインミーティングを想定 ・立花南生涯学習プラザまで足を運んでいただき、ぜひたちばなユーススペースの雰囲気を感じていただけると幸いです。 |
提供可能なデータ・環境等 | ・過去の取り組み事例 ・若者へ実施したアンケートの結果 |
プログラム終了後の本格導入 | ・検証に一定の効果が見込めれば、予算化を検討予定 |
尼崎市 紹介
尼崎市は、兵庫県の南東部に位置する、人口45万人の中核市です。
阪神電車、JR、阪急電車が東西に走っていて、大阪や神戸、京都や奈良へも乗り換えなしでアクセスできる交通の便がとても良いまちです。また、山がなく、坂道も少ないため、徒歩や自転車での移動に最適です。平成28年には、市制施行100周年を迎えました。
尼崎市は、「ひと咲き まち咲き あまがさき」をまちづくりのキャッチフレーズとし、「あまがさきで、人々が、まちが、花を咲かせ、実を結び、種を残し、また次の花を咲かせていく。」という思いで、このまちに関わる人たちが、学び合い、いきいきと活動できるような、魅力あふれるまちづくりを進めています。
引き続き、「住みたいまち」、「住み続けたいまち」、そして「住んでよかったまち」尼崎の実現 に向けて、「あまがさきで子どもを育てる人」、そして、単に尼崎で暮らすだけでなく「まちのことを想い、活動する人」の増加を目指します。