HYOGO TECH イノベーションプロジェクト

PROJECT募集テーマ

募集締切日
2022/07/03(日)【募集終了】

子どもが安心できる鳥獣対策求む!シカ等の侵入から学校生活を守りたい!

課題地域
  • 新温泉町
担当部署
教育委員会 こども課

POINT

解決したい課題

シカの生息域に学校があり、特に夜間、シカが敷地を闊歩しています。
そのとき、グラウンドにフンを散らすので、グラウンドを安心して利用できるようシカの敷地侵入を防ぎたい。

想定する実証実験

電気柵や大掛かりな柵によらない線的な侵入防止措置。

実現したい未来

日常的になっているグラウンドのフン清掃から解放され、庭木の食害が防がれた余分な負担が強いられることの無い学校運営。

得られるもの

シカ生息域では獣害やフンの害は生じる。人の利用する施設で安全安心で効果的な対策を施すことができるならば、町内外のその他の公共施設や公園でも採用される見込みがある。

STORY

学校園におけるシカ被害対策の必要性

シカによる農林業被害は、本町のみならず但馬地域でも常態化しているところです。

昼夜問わずシカを見ることはめずらしくなくなっているため、フンがグラウンドに残される被害だけであれば、その清掃を日常的な学校管理と捉えられる学校もあります。

ある学校では、学校の菜園を荒らされ、式典で使おうと育てられていた花までも荒らされています。

菜園だけであれば、部分的な電気柵設置の対処も相当と考えますが、一番大きな被害が出ている中学校からは、体育授業や部活動にあたり広大な運動場等のフンの掃除をする負担が大きくなってきており、電気柵とは異なる対処を求められています。

ここでは、シカの出没等は以前からあったのですが、近年で悪化の一途をたどっており、周辺の山林を見てもシカが植物を食べた形跡が明らかに伺えるようになりました。何らかの対処が必要と考えるものの、学校における対策として何が良いのか苦慮しています。

テニスコートに入っているシカ
グラウンド近くに現れた6頭。この場所からのシカの出入りが多い。

 ⦅実証候補地の学校の声(校長・体育教師の声)⦆

  • シカは昼夜問わず活動し、群れでグラウンドに入ってきます。グラウンドのみならず、校舎回りや中庭に入ってくるが、今年は昇降口玄関先まで移動してきている。生徒と鉢合わせする可能性があって心配。
  • 花を植えると食べられ荒らされる。植え直しても再び食べられる。庭木や高木も食べている。
  • テニスコートに入ってしまうと、逃げようとコートのフェンスに何度もぶつかっている。けがや流血しているシカの様子は生徒に見せられない。
  • 敷地内道路でシカの群れに遭遇しても、車さえ恐れない様子。自転車通学の生徒もいて事故があったらと心配。
  • 梅雨時期や雨天が続いたあとは、掃除できなかった間のフンに青かびが発生しさらに不衛生。
  • 体育の授業では、フンの清掃をしてもグラウンド整備で土とフンが混ざっている。グラウンドに座らせることができなしし、座らせようにも生徒が座らない。
  • 年々行動が大胆になっている。昨年までは、昇降口前まで来るようなことはなかった。
グラウンドに残されたフン
回収されたフン
庭木を食べ、残したフン
現在のプランター保護(網設置)の様子
校舎中庭への侵入防止措置として梯子と見かけの電気柵ワイヤー設置。侵入は続くため効果は不詳。
別の植栽帯では、この春シカが網に絡まって暴れ、学校は警察に通報。そのシカは、警官到着までに自力で逃走。

シカの増加について

 県においてもこれまでシカ被害に関し、生態等の調査を進められているところですが、頭数管理の困難性から解消は容易ではないことは理解できるところです。

 20年前ではシカよりイノシシの被害が問題となっていました。私自身も一時有害鳥獣駆除班員として活動したことはありますが、山林に入ってもイノシシは多くいてもシカはまだ少なかったのが印象にあります。農作物への被害はまだ少なく、林業被害が目につき始めた頃だったと思います。

 (第2期ニホンジカ管理計画・令和2年度事業実施計画 資料編より引用)
目撃効率による分布の変化
農業被害程度の分布と変化

 ところが、新温泉町の直近の農林水産業等公表被害額(平成30年度)で見るとシカ被害18,221千円(被害面積12.11ha)は、イノシシ被害13,432千円(被害面積9.46ha)を上回る状況になっています。

 雪の降り方の影響か、積雪変化の影響かシカの生息域は、北上してきたイメージがあります。

 今では多少雪が降っても自然の力の中では淘汰されないまでの生息数になったようで、山林の樹木剥皮にとどまらず、笹まで刈り取ったような姿にしたり、町内高原ではススキ原をなくしてしまう始末です。

 また、シカの増加とともにヤマビルが山野に生息するようになりました。

 この20年で自然の生態系に大きな影響を与えるまでの存在になっていることに違いありません。 

 現状、それぞれの被害者でシカ被害に対処することが求められており、公共施設の被害であっても同様です。

推定生息数増加状況地域における推定生息数
(神戸市、西宮市、宝塚市、三田市、加古川市、三木市、加東市、香美町、新温泉町の推定積み上げ値)

電気柵に代わるシカ対策

何か対策はないかインターネットで探してみると、音と光を生じる機械や金網状の素材をフェンスと併用して侵入防止を図る方法を見かけました。
JR釜石駅では駅構内への侵入を音と臭いで防ぐ方法がとられ、効果が確認されている記事掲載があり、これらの新たな対策も気になるところですが、獣害対策として主流は電気柵である印象を受けます。
実際、実証予定校の学校園からも本格的なフェンス設置要望の声もありますが、設置の費用が高額であるのみならず、維持管理も費用の増加となります。また、電気柵による事故も懸念され、中々設置に踏み切れないのが実情です。
 電気柵に代わる線的にシカ侵入を防ぐ汎用的な方法が容易にとれれば、電気柵を避けたい用途で重宝されるかと思いますので、お力添えいただければありがたいです。

実証予定の中学校の教諭
新温泉町 教育委員会 こども教育課

Outline

背景シカの生息域である山林に隣接する小中学校、認定こども園のグラウンドではシカが侵入している状況がみられる。シカの侵入による被害は、フンがグラウンドにまき散らされるフン害や、植栽木や学校農園の作物の食害といったメジャーなものから、サッカーゴールのようなネットにシカが絡まって暴れるといった比較的稀なケースまで多岐に及ぶ。
今回実証実験の候補地となっている学校では、フン害によりグラウンドの使用や衛生面に悩まされており、特に被害の多い秋頃にはフン清掃に毎日2人で1時間かかるなど、少なくない負担を強いられている。
有害獣対策としての頭数管理が必要であろうが、増えすぎている現状で解決は容易ではない。
学校などの公共施設でも農地と同様何らかの被害対策を要する現状がある。
課題(詳細)学校敷地へのシカの侵入を防ぐことにより、もたらされているフン被害、食害を減少させるため、音や光で忌避効果を得られるとしても、侵入を防ぎたい部分の線的な対処が課題にあり、スポット的な既存機械では設置箇所から離れると効果が見込めない。
金網のフェンスも効果を得られると思われるが、動線を阻害するうえ学校の風景に馴染まず、閉塞感も生じる。経費も安価ではない。学校や公園、公共施設にあって、安全で効果的な対策を講じることが課題。
昼間もシカは活動しており、そのときは紙雷管(スタート合図のピストル)の音で一時的に逃げるが、その場に残る火薬のにおいが消えるとすぐに戻ってくる。
校舎中庭の侵入については、梯子を用いて柵をしても侵入している。
農地に用いるような電流の刺激により侵入を防ぐ電気柵を、生徒児童の活動域で使用することは憚られて、実質的な対策は見出せていない。
求める解決策形状(配管状、電柵状、デリニエータ状等)は問わないが、できるだけ簡素な見映えで地上占有が少なく、一定の距離に対して有効なシカ忌避対策。
想定する実証実験内容(詳細)町内学校園で最も顕著なシカのフン害がある中学校における解決を特に希望しており、当該学校を実験場とした対策検討の実証地に使用いただく。
教育委員会担当職員、学校職員で可能な協力であれば、日々の様子変化について観察するなど継続的な協力が可能。
実証実験成功後の発展性町内では学校のみならず、防災広場などでもシカのフン被害は見受けられるので、山村部における学校、広場、公園では本件同様の対処に苦慮しているものと思われる。
安全で電気柵のように利用できる獣害対策があれば、シカ対策における電気柵に代わる選択肢になり得る。
町内外の毎日のように使われる施設である被害ある学校や、人への安全配慮を要する公共施設、農地にとどまらない人家周辺への展開が期待できる。
提案企業に求める専門性試案の実行できる企業であればよいですが、農業分野や電機分野であればお手持ちのアイデアや技術をより発揮いただけると思います。
プロジェクトの進め方打合せ方法学校現地にて現状をご覧いただきたく、現地を確認希望される場合はご案内します。可能な協力もあるかもしれませんので、実証の際は随時打合せで調整を図る予定です。
提供可能なデータ・環境等実証地として複数を必要とする場合、町内他校でも協力が可能。
プログラム終了後の本格導入実証地の学校を含む町内3~4校にて本格導入を年次的に計画する。

新温泉町 紹介

新温泉町は、兵庫県の北西部に位置し、北は日本海、東と南は香美町、西は鳥取県に接する地域で、内陸部は1,000メートル級の山々に囲まれています。
また、平成22年10月に世界ジオパーク加盟が認定された山陰海岸ジオパークの中央に位置し、山陰海岸国立公園、氷ノ山後山那岐山国定公園、但馬山岳県立自然公園などの自然公園指定区域を有しており、その面積は町全体の46.3%を占めています。
それに加え、今から約1150年前に慈覚大師により開湯されたと伝えられている湯村温泉をはじめ、浜坂温泉、七釜温泉、二日市温泉の浜坂温泉郷を有しています。
『海・山・温泉』を包含する豊かな自然環境に恵まれ、浜坂松葉ガニやホタルイカといった海の幸、神戸ビーフの素牛である但馬牛などのほか、日本遺産に認定された北前船寄港地や麒麟獅子などの文化、歴史といった様々な地域資源を持っています。
本町を取り巻く環境は、急速な少子高齢化や過疎化の進行等あらゆる分野で大きく変化していますが、まちの将来像「海・山・温泉 人が輝く 夢と温もりの郷 -ふるさとの未来へ つなぐ まちづくり-」の実現に向けて取り組んでいます。

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